奥多摩に来た人がいちばんよく口にするのが、「思ったより寒い」と「濡れた」です。どちらも、都心を出るときの格好のまま来てしまったことが原因であることがほとんどです。
奥多摩は同じ東京都でありながら、標高も地形も都心とはまったく違います。気温は都心より数度低く、日が山に隠れるのも早い。川沿いに降りればさらに冷えますし、山の天気は午後から崩れることが珍しくありません。装備を大げさにする必要はないのですが、「一枚足せる」「濡れても平気」という状態にしておくだけで、一日の快適さがかなり変わります。
基本の考え方は「重ねる」と「乾く」
奥多摩の服装で押さえるべき点は、実はこの二つだけです。
重ねる。厚い一枚ではなく、薄手を重ねて調整できるようにします。歩けば暑くなり、止まれば冷える。脱ぎ着できることが、そのまま快適さになります。
乾く。綿のTシャツやジーンズは、汗や水で濡れると乾かず、体温を奪い続けます。化繊やウールの素材を選ぶだけで、同じ気温でも体感がまったく変わります。
この二つを意識しておけば、季節ごとの調整は難しくありません。
季節ごとの目安
春(3〜5月)
日中は暖かくても、朝晩と日陰はまだ冷えます。薄手の長袖に、風を通さない上着を一枚。桜の時期でも川沿いは想像以上に寒いので、上着は「持っていくかどうか」ではなく持っていく前提で考えたほうが失敗しません。
夏(6〜8月)
都心の猛暑日でも、奥多摩は木陰と川風でかなり過ごしやすくなります。ただし油断は禁物です。
- 川に入るなら、濡れる前提の服と着替え一式。濡れたまま帰るのは想像よりつらいです
- 足元はサンダルよりも、かかとが固定される靴。川の石は滑ります
- 虫よけと日焼け対策。沢沿いは日中でも虫がいます
- 夕方の一枚。日が山に隠れると急に涼しくなります
秋(9〜11月)
いちばん気温差が大きい季節です。日中は半袖でも歩けるのに、朝晩は上着なしでは厳しい、ということが普通に起きます。薄手を三枚重ねるくらいの構成にして、暑ければ脱ぐ。紅葉の時期は特に、朝早く出て夕方に帰る行程になりやすいので、寒暖差を前提に組んでおくと安心です。
冬(12〜2月)
都心が晴れていても、奥多摩は日陰の路面が凍っていることがあります。滑りにくい靴が最優先。加えて、手袋・帽子・首まわりのように、末端を守るものを足すと体感が大きく変わります。無理に厚着するより、風を通さない上着を一枚持つほうが効きます。
目的別に、これだけは足しておきたいもの
川で過ごすなら
濡れることを前提にした構成にします。着替え、タオル、濡れたものを入れるビニール袋。この三つが揃っているだけで、帰り道の気分がまったく違います。足元は水陸両用の靴か、脱げないサンダル。裸足やビーチサンダルは、石で足を切りやすいのでおすすめしません。
山を歩くなら
初心者向けのコースであっても、靴だけは歩ける靴にしてください。スニーカーで登れるコースは多いのですが、雨上がりの土や落ち葉の下は滑ります。加えて、行動食・水・レインウェア。「短いコースだから」と水を持たずに入るのが、いちばんよくある失敗です。
まちを歩くだけなら
駅周辺やお店をめぐる程度なら、特別な装備はいりません。ただし坂道と階段は多いので、歩きやすい靴で来たほうが楽しめます。それと、現金。カード決済に対応していない店もあるので、いくらか持っておくと困りません。
天気は「出発前」と「現地」で二回見る
奥多摩の天気は、同じ日でも場所によって違います。青梅は晴れているのに奥多摩湖の方は降っている、ということが実際に起こります。
出発前に予報を見るのはもちろんですが、現地に着いてから空を見て予定を組み替えられる余地を残しておくのが、結局いちばん役に立ちます。雨が降っても行き先を変えれば楽しめる場所はありますし、その場合の選択肢は[奥多摩が雨の日でも、行く価値はある](/articles/okutama-amenohi)にまとめています。
装備を完璧にすることより、「どうにでも転べる状態」で来ることのほうが、奥多摩では効きます。
まとめ
- 都心の感覚より一枚多め。特に朝晩と川沿い
- 綿より乾く素材。濡れたときの差が大きい
- 靴は滑らないものを。季節を問わずこれが最優先
- 川に行くなら着替えと袋、山に行くなら水と行動食
- 天気は出発前と現地の二回見る
大げさな装備は必要ありません。ただ、「寒かったら着る」「濡れたら着替える」ができる状態にしておくだけで、奥多摩は一段と過ごしやすい場所になります。
なお、施設の営業状況や登山道の通行可否は変わることがあります。出かける前に、各施設や自治体の公式情報を確認してからお出かけください。
