奥多摩湖は、多摩川をせき止めてつくられた人造湖です。東京都の水道用の水を貯えるダム湖で、湖としてはかなり大きく、端から端まではちょっとした移動距離があります。

ここが、はじめて行く人がつまずくところです。奥多摩湖は「点」ではなく「細長い線」なので、どこに立つかで見えるものがまったく違います。行き当たりばったりで向かうと、湖沿いの道をただ通り過ぎて帰ってくることになりがちです。

先に「湖のどのあたりで、どのくらいの時間を過ごすか」を決めておく。それだけで満足度がはっきり変わります。

まず押さえる3つのエリア

奥多摩湖は大きく3つに分けて考えると計画が立てやすくなります。

ダムのあるあたり(湖の入口側)

奥多摩駅から見ていちばん手前、堤体のある一帯です。駐車場と展望のきく場所、トイレ、休憩できる施設がまとまっているので、はじめて行くならここを基点にするのが無難です。

ダムの上を歩いて渡れる区間があり、下をのぞくと高さがそのまま伝わってきます。高いところが苦手な人は、無理をせず湖側だけ見ていてください。

湖の中ほど(湖岸の道沿い)

湖に沿って走る道の途中に、駐車スペースや眺めのいい場所が点在しています。車ならここを何か所か拾っていくのが気持ちのいい過ごし方です。

ただし道幅が広い区間ばかりではありません。対向車とすれ違う場面もあるので、景色に気を取られて速度を落としすぎないようにしてください。停まるときは必ず駐車できる場所まで進みます。

湖の奥(山梨方面へ抜ける側)

さらに進むと人の数がぐっと減り、静かな湖面が見られます。時間に余裕がある日向きです。ここまで来ると引き返す時間も相応にかかるので、日没から逆算して折り返し時刻を決めておいてください。

交通手段ごとの向き不向き

いちばん自由が利きます。3つのエリアを一日でつなげられるのは車だけです。

弱点は駐車場で、紅葉の時期や連休は主要な駐車場が早い時間に埋まります。混む時期は午前の早い時間に着いておくのが確実です。時期の考え方は[奥多摩の紅葉の記事](/articles/okutama-kouyou-jiki)にまとめています。

バス

奥多摩駅からバスで湖に向かうのが公共交通の基本ルートです。電車で来る場合はこの組み合わせになります。

大事なのは、バスは本数が多くないという前提で組むことです。行きの時刻より先に「帰りの便」を調べて、そこから逆算して滞在時間を決めてください。1本逃すと待ち時間が長くなります。電車側の動き方は[電車でのアクセスの記事](/articles/okutama-access-densha)を参考にしてください。

歩き

湖のまわりには遊歩道が整備されている区間があります。湖を一周するようなものではなく、区間を選んで歩くタイプです。

歩くと湖面の高さの変化や、水位が下がったときに現れる岸の様子など、車では通り過ぎてしまうものが見えます。距離と所要時間だけは事前に把握しておいてください。

水位で見え方が変わる

奥多摩湖でいちばん覚えておいてほしいのがこれです。ダム湖なので、季節や降雨の状況によって水位が大きく変わります

水位が高いときは、湖面が岸まで満ちた見慣れた風景になります。逆に水位が下がると、ふだんは沈んでいる斜面や地形が現れて、まったく別の場所のように見えます。どちらがいいというより、行った日にどちらが見られるかという話です。

水位に左右されるものもあります。湖に浮かぶ橋は、水位や点検の状況によって通れない期間があります。それを目当てに行くなら、当日その橋が通れるかを出発前に公式の情報で確認してください。「あるはず」で向かうと空振りになります。

半日で組むか、一日で組むか

  • 半日: ダムのあるあたりに絞る。展望と堤体、周辺の休憩施設まで。奥多摩駅からバスで往復してもこの範囲なら収まります
  • 一日: 車で湖の奥まで足を延ばす。途中の眺めのいい場所を拾いながら、折り返し時刻だけ決めておく
  • 組み合わせ: 午前に湖、午後に温泉や渓谷。昼食の時間だけは早めに確保してください([奥多摩のランチの組み立て方](/articles/okutama-lunch))

行く前に確認しておくこと

  • 道路の状況: 湖の奥へ続く道は、冬季や災害の後に通行止めになることがあります
  • 駐車場: 混雑期は早い時間に。停められない前提の代替案も用意しておく
  • バスの帰り便: 電車で来るなら、最初に帰りの時刻を押さえる
  • 天気: 湖の上は風が抜けて体感が下がります。雨なら[雨の日の記事](/articles/okutama-amenohi)の考え方が使えます
  • 施設の営業日: 周辺の施設は休業日があります。公式の情報で当日分を確認してください
営業時間・料金・通行の可否は変わります。この記事は考え方の整理なので、具体的な情報は必ず公式の発表で確認してください。

奥多摩湖は、車で通り過ぎるだけでも十分にきれいな場所です。それでも、どこで降りて何分立ち止まるかを先に決めておくと、同じ一日がまったく違うものになります。