奥多摩は、都心から電車でも車でも行ける範囲にありながら、川と山がそのまま残っている場所です。子どもを連れて行くには、これ以上ないくらい条件がそろっています。
ただ、子連れで行った人の感想は、はっきり二つに割れます。「一日遊べて最高だった」と、「移動ばかりで疲れて終わった」です。この差は、行き先の選び方ではなく、一日の組み方でほとんど決まります。奥多摩は、大人だけで行くときと子どもと行くときで、時間の使い方をまるごと変えたほうがうまくいく場所だからです。
「現地で遊べる時間」を先に計算する
いちばん多い失敗は、移動時間を都心の感覚で見積もることです。奥多摩は地図の上ではそれほど遠く見えませんが、電車は本数が少なく、車は道が狭くなって速度が落ちます。行きと帰りを合わせると、一日のかなりの部分が移動に消えます。
だから、行き先を決める前に、この順番で考えてください。
- 帰りの時間を先に決める。子どもが限界になる時刻から逆算します
- そこから移動時間を引く。往復ぶんです
- 残った時間が「現地で遊べる時間」
ここで残った時間が2〜3時間なら、行き先は1か所に絞る。これが奥多摩を子連れで回るときの基本です。2か所3か所と欲張ると、そのすべてが移動と待ち時間に削られて、結局どこも中途半端になります。
移動そのものの前提は、[奥多摩へのアクセス、電車での行き方](/articles/okutama-access-densha)と[奥多摩に車で行くなら駐車場から決める](/articles/okutama-kuruma-chushajo)にまとめています。子連れの場合、この「本数が少ない」「駐車場が埋まる」という前提が、そのまま一日の設計を縛ります。
電車と車、子連れではどちらが向くか
どちらが正解ということはなく、何を諦められるかで選び方が変わります。
車が向くケース
- 荷物が多い。着替え、タオル、ベビーカー、飲み物をまとめて積める
- 子どもが小さく、途中で寝る可能性がある
- 予定を途中で切り上げたい。車なら「もう帰ろう」がすぐできます
電車が向くケース
- 運転する人が疲れずに済む。帰りの下りの運転は、思っているより負担です
- 渋滞の影響を受けにくい。時間が読めるぶん、逆算が正確になります
- 子どもにとって電車そのものが目的になることがあります
ただし電車を選ぶ場合、駅から先の移動が残ることは忘れないでください。バスは本数が限られるので、[奥多摩をバスで回る](/articles/okutama-bus)の考え方——帰りの最終便から逆算する——が子連れではさらに重要になります。子どもの「もう少し遊びたい」に付き合ってバスを逃すと、取り返しがつきません。
川で遊ぶときに、親が見ておくこと
奥多摩で子どもがいちばん喜ぶのは、たいてい川です。ただし奥多摩の川は、水遊び場として整備された場所ばかりではありません。山の川は、見た目の穏やかさと実際の危険が一致しません。
押さえておきたいのは次の点です。
- 水温が低い。夏でも長く入っていると体が冷えます。唇の色と震えを見て、早めに上げる
- 深さが急に変わる。浅く見えるところの先が急に深いことがあります
- 石が滑る。サンダルではなく、かかとが固定できて滑りにくい靴を履かせる
- 上流の雨で水量が変わる。晴れていても、山の上で降っていれば増えます
子どもから目を離さない、は当然として、「どこまでなら行っていいか」を遊び始める前に決めて伝えておくと、その場での叱り合いになりません。
詳しくは[奥多摩で川遊びをするときに知っておきたいこと](/articles/okutama-kawaasobi)にまとめています。
歩くなら、距離ではなく「引き返せるか」で選ぶ
子どもと山を歩くときは、行程の長さより、途中でやめられるかどうかで選んでください。往復で同じ道を戻るコースなら、子どもの様子を見ながらどこでも折り返せます。一周する形のコースは、途中で「もう歩けない」となったときに逃げ道がありません。
- 時間で折り返すと決めておく。「11時になったら、どこにいても引き返す」
- 子どもの歩く速さは、大人の見積もりの半分と考えておく
- 下りのほうが転びやすい。体力を全部使い切らないところで折り返す
歩くコース全般の考え方は[奥多摩のハイキング、初心者はどう選ぶか](/articles/okutama-hiking-shoshinsha)を参考にしてください。
服装と持ち物は、大人より一段多めに
奥多摩は都心より気温が低く、川沿いや谷筋はさらに冷えます。子どもは体が小さいぶん、暑さにも寒さにも早く振れます。
- 着替えは必ず一式。川に入る予定がなくても、子どもは濡れます
- 上に羽織る一枚を人数分。朝晩と日陰でまったく違います
- 飲み物は多めに持つ。上流に行くほど買える場所は減ります
- 食べ物も少し多めに。お店は夕方には閉まるのが基本です
大人ぶんも含めた季節ごとの考え方は[奥多摩の服装と持ち物](/articles/okutama-fukuso-mochimono)にまとめています。
雨でも、行き先を変えれば成立する
天気が崩れたときに、丸ごと中止にする必要はありません。ただし川と沢だけは外してください。水量が変わるうえ、岩が滑ります。
雨の日の組み替え方は[雨の日の奥多摩の過ごし方](/articles/okutama-amenohi)にまとめています。子連れの場合は、屋内で過ごせる時間をひとつ確保したうえで、移動を減らす方向に組み替えるのが現実的です。
まとめ — 一日に詰め込まないことが、いちばん効く
奥多摩を子どもと楽しむコツは、結局ここに戻ってきます。
- 行き先は1か所。移動時間を引いた残りで考える
- 帰りの時刻から逆算する。電車もバスも本数が少ない
- 川は、見た目より冷たくて深い。遊ぶ範囲を先に決める
- 歩くなら引き返せるコース。時間で折り返す
- 着替えと羽織りものと飲み物は多めに
なお、施設の営業時間、駐車場の状況、バスの時刻、川の遊泳可否は変わります。出かける前に、町や施設の公式情報でその日の状況を確認してください。
